現在日本には賃貸用などを除いた空き家が約220万戸あるようです。
年々増え続ける空き家問題に対して、国税庁がある特例を設けました。
それは「平成28年4月から令和9年12月の間に所有する空き家を売却したときに、譲渡所得の金額から最高3000万円までを控除することができる」というものです。
この特例は古い耐震性が低い空き家が増えるのを抑えることを目的として設けられたものであり、建築年月日などの条件が定められています。
もしも空き家状態の実家などを持て余している状況であれば是非とも利用して節税効果を期待したいところです。
そしてこの特例は2023年度の税制改正において適用範囲・一部控除額・譲渡するための条件が変更され使いやすくなりました。この改正の違いについて大まかに解説します。
適用範囲期間
まずは適用範囲期間です。冒頭で「平成28年4月から令和9年12月」と記しましたがこれは改正後の期間であり、改正前は「平成28年から令和5年」とされており今回の改正で4年間延長された形になります。
令和5年度税制改正の詳細について、詳しくは財務省「所得税法等の一部を改正する法律案要綱 」でも詳細をご確認いただけます。
一部控除額
次に一部の控除額です。少しややこしい話になります。
改正前では不動産の相続者が複数いる場合でも控除額はそれぞれ3000万円ずつでしたが、改正後は相続者が3人以上いる場合は一人当たり2000万円までとなり一人当たりの控除金額が制限される事になりました。
譲渡するための条件
譲渡するための条件に付いても説明します。
改正前、不動産を売る為には売主が家屋の耐震リフォームもしくは除去等をすることが条件とされていました。
しかし改正後、この条件を「買主が満たせば良い」となりました。
これにより売主側がリフォーム費用などを負担する必要が無くなりました。
これは非常に大きな改正点となります。
これまでは譲渡するまでに売主が耐震リフォームや取壊しをすることが条件となっていました。
つまり、相続人側でリフォームや取壊しの費用を負担し段取りを行い進めなくてはならなかったのです。
これがこの制度が今一つ進まない要因となっていました。
しかし今回の税制改正で「譲渡時から譲渡された年の翌年2月15日までに、耐震基準を満たしたり取壊しが完了したりしたことの証明が出来れば良い」とされました。
※注意点として「購入年(売却した)の翌年2月15日までに」という期限が定められていることです。
最後に、不動産売却は大きな金額が動く取引となります。
その為「知ってるか知らないか」で売却後に大きな差が出てくるものです。
信頼のおける不動産会社、税務署、税理士にご相談して見て下さい。